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産業ソーシャル
コーチとは

​産業ソーシャルコーチとは

産業ソーシャルコーチは、ニューロダイバーシティの観点から広く一般の社会人を対象に、多様な人々の間で生じる、対人関係の問題・心理的不安定感や葛藤・社会通念と実際の差異・意思決定などの個人を取り巻く社会的な課題解決のニーズに対して、それらを解決・解消し、社会的自由を獲得するような「自分らしいアイデンティティーの形成・発達」を目指した支援を行います。

「産業ソーシャルコーチ」は一般社団法人日本産業コーチ協会が認定する日本発の資格です。

実際の支援現場で培われた知見をもとに組まれた訓練プログラムを養成講習において修了し、認定試験に合格された方に付与されます。

​産業ソーシャルコーチ資格制度化の趣旨

近年、神経発達症の症状とされてきた特性を、脳の機能・構造の差異に由来することを認め、病理的な状態ではなく、人間の生物学的な多様性の一つと見なす「ニューロダイバーシティ(脳の多様性)」という考えが広がりをみせています。

私たちは、これまで神経発達症のひとつである注意欠如・多動症(以下、ADHD)の特性のある社会人を対象としたコーチングのあり方について、検討を重ねてまいりました。

このコーチングを実際にご利用された方々は、特性の表れ方もニーズも異なり、目標の達成や課題解決の道のりもさまざまです。また、生まれ育って現在にいたるまでに形成されてきたパーソナリティや、社会生活のご状況も異なっていることから、ADHDの特性のみに焦点を当てた専門的なアプローチという考え方は、多様なニーズに対応することに限界があるという結論に至りました。

解決事例には共通して、目の前のご利用者様との関係性を丁寧に構築しながら、そこで培われる理解にもとづき、情動的なサポートを伴った応答をしていくことで、ご利用者様が内省しやすくなり、自らの感覚を軸に考え実行し、振り返りによって気づきを得て、修正していくというプロセスがありました。同時に、感情を当然のものとして認めていることを、都度関わりの中でお伝えしていくことで、ご利用者様がなにかの条件を満たさなくても自分らしくいられるという自尊感情を、自ら高めていくプロセスも起きていました。

このプロセスが繰り返し生じたご利用者様からは、焦燥感や閉塞感が減って、その分以前よりも安定的になったとのご報告を、継続していただくようになりました。それは、日常の社会生活にも、柔軟な行動選択やこまやかな内省として表れているというエピソードが複数ございました。こうしたことは、ADHDを診断された社会人の方だけではなく、同じ神経発達症群の自閉スペクトラム症の診断をされたご利用者様からも、同様のご報告がありました。自尊感情を高めていくことは、国立精神・神経医療研究センターが示すADHD治療のガイドラインに目標として記載されていますが、そもそも条件を満たさなくても自尊感情が保たれていることは、すべての人にとって有益な目標となり得ます。そして、この類いの自尊感情の高まりは、他者に尊重される関わりが必要になることが、心理学的に指摘されています。

つまり、自尊感情の高まりに貢献するようなより良い支援は、建設的な関係性をいかに築けるかが焦点となります。

 

しかしながら、支援の関係性で自尊感情が高まっても、解決に至ることが困難なケースがあります。もっとも多いケースに、ご利用者様に日常的に関わる方が、他の社会的な関係性によって抑圧され、その抑圧がご利用者様との関係性に、否定的な影響を与えていたというものです。

そのような否定的な関係性の中で、ニューロマイノリティの方々の特性の表れ方に対し、「思いやり・想像力に欠けている」「努力不足である」「自主性がない」などの社会通念上のよくないとされる表現で責められ、否定的なアイデンティティーを構成し、焦燥感からより一層そうした言説の通りに、特性の表れ方が強化されてしまうことも少なくありません。ただし、このような社会通念は、様々な背景のある人々にも向けられており、多くの方々の社会参加を抑圧することにもつながります。

 

これらのことから、ニューロマイノリティの方々が抱く困難さの解消は、いわゆる定型発達の方々が独自に抱く困難さも解消されなければならないと言えます。つまり、多様な人々が、自分らしいアイデンティティーを発達させ、相互承認し合う共生社会を目指していくことが重要となります。

 

以上を踏まえ、ニューロマイノリティの方々が生きやすく活躍しやすい社会を目指すためにも、広く一般にニューロダイバーシティの観点による支援が必要であることから、一般社団法人日本産業コーチ協会が資格制度で扱う「認定ADHDコーチ」は「産業ソーシャルコーチ」に呼称を改め、支援実践も、多様な人々の間で生じる、対人関係の問題・心理的不安定感や葛藤・社会通念と実際の差異・意思決定などの個人を取り巻く社会的な課題解決のニーズに対して、それらを解決・解消し、社会的自由を獲得するような「自分らしいアイデンティティーの形成・発達」を目指した支援を行うことにいたしました。

この支援活動によって、多様な人々が独自の特性を建設的に社会に表しつつ、相互承認し合う関係性から、豊かな共創が促進される共生社会の実現に寄与いたします。

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